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山と空と大地に抱かれてオノと僕しかここには存在しない。
僕がオノの腰の帯を解くと、オノが僕の上着を脱がせた。ぴったりした乗馬靴を脱ぐと、オノが僕の目を見詰める。
「シン、俺のシン。」
「オノ...。」
優しいキスを繰り返しながら、オノが僕を生まれたままの姿にした。熱い唇が僕の耳朶を噛むと、僕の名前を囁く。
「あんっ、オノ…」
逞しい背中に手を回すと、僕は溜まらなくなって声を上げた。オノが舌で丹念に僕の肌を愛撫する。オノの歯が僕の乳首を軽く擦ると、僕は身体を仰け反らせた。
「やっ、駄目。も…欲しっ、んっ」
「シン、ちょっとがまんする。もっとゆっくり。」
「あっ、あん…はっ」
いつもは乱暴なくらい、僕を貫いて動き続けるオノは、今日は優しく僕を焦らすように丁寧に愛撫を続けた。それなのに僕のアソコには触ってもくれない。自分で手を伸ばそうとすると、
「だめ、ゆっくり。」
何度も同じことを言われて止められた。
足を開かされてお尻を突き上げると、オノの指が僕の中心を押し開いて入ってきた。さっきからオノが欲しくて我慢できなかった僕は、オノの指を求めて腰をくねらせた。
「ああん、オノ。もっと…」
「シン、すごい。俺も…むり。がまん、むり。」
「いい、我慢しないで。早くっ!」
オノが自分の衣装を剥ぎ取ると、濡れた先端を僕の中に突き入れた。
「ああ!はあっ…オノ...」
「シン、シン。」
僕の中がオノの熱で隙間無く満たされる。僕にモンゴルの言葉や習慣、乗馬、色んなことを教えてくれるオノは、いつだって我慢強くて優しい。だけど初めて抱き合った時から、僕を抱く時だけは、オノはまるで違う人みたいに、呻き声を上げて僕を激しく突き上げる。
「ああっ…あああー!」
しがみついたオノの背中越しに、覆いかぶさるように聳え立つアルタイの山々が見えて、そのうち涙にぼやけて滲んで消えた。
―――ぼんやりした僕を抱き起こすと、オノが両腕に僕を抱え込んでぎゅっと抱き締めた。僕を抱いたまま静かに揺さぶると低い声で歌を歌ってくれる。いつもは馬頭琴の調べにのって歌われる、哀切なモンゴルの民謡。
僕は近づくオノとの別れを思って、オノの胸に顔を埋めると、その歌声を聞きながら静かに涙を流した。僕が泣いているのに気づいたオノが歌を止めると、身体を離して僕を見た。ほどけたオノの髪が、サラサラと光を浴びて輝く。
「ごめん、シン。いたい?」
「ううん。違うよ、オノ。そうじゃないよ。」
初めてオノに抱かれた日、僕は自分で馬に乗って帰ることが出来なくて、オノに抱かれてゲルまで戻った。幸い、僕の馬はオノに手綱を取らせて、大人しく並んで付いて戻ってくれた。
いつもは草原を飛ぶように駆けるオノが、その日はなるべく静かに僕らの乗った馬を歩かせた。そのせいでゲルに戻った時にはすっかり暗くなってしまって、オノの家族にも、僕が寝起きしているゲルの家族にも随分心配をかけてしまった。
だけどその時、オノに抱かれて見た夕日の美しさを僕は一生忘れない。そしてその燃えるような赤い夕日に照らされたオノの横顔も。
違うって言ったのに、オノは日本語と英語とモンゴル語をごちゃまぜにして、一生懸命僕に謝ってくれた。
「今日は特別な日だから、シンにうんと優しくしたかったのに我慢できなくてごめん。」
胸が一杯で何て言っていいか分からなかった僕は、オノの唇にキスして彼の謝罪の言葉を止めた。
「オノはいつも優しいよ。僕の大好な、オノ。必ず戻って来るから、絶対待っててね。」
瞳の中に僕の姿を映したまま、オノがしっかりと僕の言葉に頷いてくれた。
夏休みの間だけでも、僕がここに来ることに大騒ぎした両親を説得するのは難しいかもしれない。だけど、僕はきっとここに戻って来る。
静かなアルタイの山々に抱かれた、風の吹き渡る草原に。オノの待つ大地に。
二人だけで交わした約束を守るために。
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後書き
何か読んでて幸せな気分になる話が書きたかったので…。モンゴルにこういう求婚の儀式があるって、昔TVで見たことがあった気がするんですよね。世界で一番素敵なプロポーズだと、子供心にも萌えってなった記憶があって、今回ネタに使ってしまいましたが、駄文で上手くお伝え出来ないのが残念です。