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なんかハネムーンみたいだったかも。
サンディエゴへの小旅行から帰ってしばらくは、会社でも家で一人でいても、グフグフ思い出し笑いをしてしまう。
そうやってニヤニヤしてると、マークに「どうしたの?」って聞かれて、思わず「聞いてよ!」って自慢してしまった。
多分「聞くんじゃなかった。」って思われたろうけど、止まらない。
「マークはさあ、2人で旅行とかするの?」
前にカーラが、誕生日のギフトはベガスに旅行って言ってたのを思い出して、マークにも聞いてみた。
「ああ、サンディエゴには行ったことあるよ。クラブとか沢山あるよね。」
「クラブ?」
「行かなかった?」
俺は知らなかったけど、サンディエゴのダウンタウンには、サンフランシスコとはまた客層の違う、若い子が集まるゲイバーが沢山あるとか。
祥平も知らなかったのかな?それとも俺が行きたがらないと思って言わなかったとか?だったら嬉しいんだけど…
前にバーに連れてかれた時は酷い目に遭ったし。
(もう俺にあんなこと、しないはずだよね?)
「前もヨセミテに行ったって言ってなかったっけ?ほら、入社して直ぐの頃。」
「うん。でも、あの時は姉が来てて一緒に行ったから、2人だけで旅行って今回が初めて。」
「そっか。でも次は日本に行くんでしょ。」
「あ、う、うん。」
「もうすぐ出発だね。」
「そう…。」
「もっと楽しそうにしなきゃ。」
マークはそう言ってくれたけど、日本に行くのは楽しい旅行になるかどうか。
(一番の問題は親父だろうなー。)
取りあえず、その夜また姉貴に電話を掛けてみた。
「お土産ワインでいい?」
「そうねえ。何本くらい持ってくるの?」
「え?何本って、何本いるの?」
「だから、私と和樹君に1本ずつ。実家にも、兄さん達とお父さん達に、1本ずつ持ってった方がいいんじゃない?」
「ええ?それって全部で4本?」
簡単に言うよなー。自分がお土産持ってくる時は軽くて安い物限定の癖に。
「祥平君と一緒でしょ。きっと持ってくれるわよ。」
そしてあくまでズーズーしい。
「いつもはチョコじゃん。」
「それはあんたがワインは重いってゴネるから。でも、今回はちゃんとしたお土産持ってこないと駄目でしょ?美味しいワイン飲ませて、お兄ちゃんもお父さんも機嫌が良くなった所でカムアウトしちゃいなさいよ。」
さすがは姉貴。こういう所は頭が回る。
そう言われて、スーパーの安いワインじゃなくて、一応ワインショップに行ってそれなりの値段のものを選ぶことにした。まずアキにメールしてどういうカリフォルニアワインがお勧めか聞いてみる。
そして聞いてみた以上、アキにも1本選んだ。
まあ、いいよね。もうアキにも恋人もいるんだし、別に深い意味はないんだから。ただのお土産。アキ、ワイン好きだし。日本で買うと高いし。
でもやっぱり一応…
「いちいち俺に聞くな。」
「ほんとにただのお土産だから。顔見て渡すだけ。ちょっとアキの恋人って人にも会ってみたいかなー、って。祥平も一緒に行こう。」
「俺は全く興味無いけど。」
「そう言わないで。ほら、この人。」
前にアキが送ってくれたメールの写真を、祥平にも見せてあげた。
「俺には全然似てないけどね。」
「いや…雰囲気が似てるんじゃない。けど、この写真変じゃん?」
「うん、なんかね。こっち向けばいいのに。照れてるのかな。」
「本人に内緒で撮ったって感じだぜ。恋人とかいねーんじゃねーの。見栄張ってるだけじゃん。」
「まさか…。」
第一、言っちゃ悪いけど、それならこういう並みのルックスの人は選ばないよね。もっと若くて奇麗な子を撮ればいい訳だし。
「きっと照れ屋で、すごーくいい子なんだよ。」
「ま、あいつのことだからな。」
「アキのことだから、何?」
俺がそう聞くのには答えず、逆に祥平が聞いた。
「で、このワイン5本って誰が運ぶの?」
「あー、それは、出来れば手伝って欲しいかなって。」
「やっぱり。」
「お願い。俺、5本も無理。成田から姉貴の家行くまでに、肩パンパンになる。」
「情けねーな、相変わらず。」
そして良く考えてみれば…
「お前、スーツケース持って無いの?」
「祥平だって。」
「俺は日本に戻ったこと無いって言ってるだろ。お前は今までどうしてたんだよ?」
「それはその適当に…。」
荷物を軽くすませるために、最近は日本に帰るたびにパジャマから部屋着、下手すると下着まで兄貴のものを適当に借りる。
「げっ!そういう気持ち悪いことするなよ。」
「だって、別に洗えばどうってことないじゃん。」
「とにかく駄目!ちゃんとスーツケース買って来い。」
「日本はさ、こっちと違って電車の駅に階段あるし、姉貴の家までスーツケース転がしては行けないよ。途中、絶対持って歩かなきゃならない所あるって。」
「だから何?どうせ俺が運ぶんだろ。いいから買って来い。」
そう言われてシブシブ買いにいったけど、結構いい値段。
給料は高いのに、貯金というものが殆どない。祥平のセラピーにお金がかかるのと、サンディエゴに旅行に行ったり、日本までの旅費。お金には羽根が生えてるっていうのは本当だ。あっという間にヒラヒラ飛んでいってしまう。
そして、試しにワインを洋服でグルグル巻きにしてスーツケースに詰めてると、祥平に止められた。
「ワインなんてスーツケースに詰めて、割れたらどうすんだよ。」
「え?このくらいしっかりガードすれば平気だよ。」
「駄目。チェックインした荷物なんて、貨物室から地面に放り投げるんだぞ。下手するとスーツケースだって壊れるし。」
「だって手荷物に入れると、空港の中持って歩く破目になるもん。」
「俺が3本持ってやるから、お前2本持て。」
「…。」
手荷物だって、機内が混んでる時は、スチュワーデスのお姉さんが車輪付きのカートなんかを、頭上のコンパートメントに思い切り押し込む。それで割れたら嫌だから、やっぱり服でグルグル巻きにして、祥平のバックに3本、自分のに2本、更に服の間に挟むようにして入れた。
けど…
「じゃあスーツケースなんて要らなかったじゃん。殆どガラガラ。」
「いや、それは俺がこれから必需品を入れるから。」
必需品?
って、それのどこが必需品なんだー!?
シャンプー、コンディショナーはともかく、いやそれも小分けにしないでボトル毎つっこむし、なにより…なぜ缶詰?
「トマトピューレ、トマトソース、パスタに瓶詰めのハーブ?何やってんだよ?キッチンのもの全部持ってくつもり?」
「日本に売ってるかどうか分かんないじゃん。」
「東京のスーパーには何でもあるよ。」
「美味いかどうか分かんない。」
「絶対に美味しいって!日本人はグルメなの。」
「けど、何だかんだ不純物入ってるよな。」
ううー、始まった。たとえエキスでも動物性のものが入ってたら食べない男。しかも、味の素とか人工着色料も一切受け付けない。一遍食べたもの吐き出して、パッケージをチェックしたら本当に甘味料とか入ってた。
「勝手にすれば!でも、そのスーツケースはお前が引き摺ってけよ。」
「どうせ最初からそのつもりじゃん。敬吾も自分の荷物だけは運べよな。」
こいつと日本なんて大丈夫かなー。パッキングの段階で既に疲れたぞ。
家のことはまたご近所さんにお願いして、ドッグウォーカーのオバサンにも旅行の日程を伝えると、それで一応準備は完了した。
空港で長々と待つのは嫌なんで、俺が一人の場合は大抵時間ギリギリにラインに並ぶ。祥平は「念のため」出発時間の2時間以上前に空港に着く様にキャブの手配をした。
まあ最近はあんまりギリギリに行くのはよした方がいいみたいだから、それはいいか。
しかし、キャブドライバーが「念のため」30分近く早目に迎えに来たために、途中の道はガラガラ。結局空港には3時間近く前に着いてしまった。
「ウロウロしないで、少しはジッとしてろ。」
「だって暇だし。」
「新聞でも読めば。」
「英語だもん。」
祥平はサッサとチェックインを済ませて、ゲートの前に座り込むとラップトップを開いてメールを読みだした。
「腹減った。」
「機内で何か出るだろ?」
「でも2時間位しないと出ないし。それに、祥平は食べられないんじゃない?」
「ちゃんとビーガン用頼んだ。」
「そんなん出来るの?」
「当たり前だろ、今時。」
退屈だから空港の中のギフトショップを見て回ったけど、買う気も無いし、本屋にも当然だけど英語の本しか置いてない。結局サンドイッチとコーヒー、祥平にはミネラルウォーターを買って戻った。
「食べる?」
「何それ?」
「分かんないけどベジーって。」
サンドイッチを解体してチーズを取り出すと、それでも、
「サンクス。」って言って、祥平がサンドイッチを食べ出した。
「暇だなー。まだ1時間以上あるよ。」
「ならトイレでも行く?」
「今、行って来た。」
「だから2人で…ん?どう?1時間くらいあっという間に…。」
「い、いい。暇じゃない、全然。」
長々と座って待ってたから、飛行機に乗り込むのは最後にしたかったのに、エコノミーのアナウンスがあった途端に、祥平に促されてラインの先の方に並んだ。
「どうせ皆が乗るまで出発しないんだから、後から乗り込めばいいじゃん。」
「駄目だよ。コンパートメント一杯になったら、荷物入れられないだろ。」
そして早々と飛行機に乗り込んで、手荷物を入れてしまうと出発まで更に座って待つ。
既にトコトン疲れている。
どうしてこうテクノロジーが進んでるのに、フライトの時間だけはいつまで経っても縮まらないんだ?何でいつまでも10時間以上かかるんだ?
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飛行機って大嫌いだーっ!!
そうそう、機内食って事前に色々と注文できるのご存知でした?私は特に必要ないからそんなの知らなかったんですけど、友達がヒンドゥ用の食事を注文してたんです。フライトの前にオーダーしておけば、色んなダイエット(食事習慣)に合わせた機内食を用意してくれるみたい。