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テントに戻ると姉貴が朝ご飯を作ってくれてた。
「おっ、えらいじゃん。」
「ま、缶詰開けて温っためただけだけどね。どうだった夜明け?ロマンチックだった?」
「まあね…ふふっ。」
「私も行きたかったけど、遠慮したんだからね。」
「だってグーグー寝てたよ。」
「ったく可愛くないわねえ。“お姉様ありがとう”くらい言いなさいよね。」
「言うか、そんなん。」
荷物を纏めると、俺の服と寝袋以外は全部祥平が持ってくれた。
(それなのにまだリュックが重いのはどうして?)
「あんた運動してる?」
「ぜーんぜん、敬吾、まったくなんにもしないから。」
「してるよー。トレッドミル乗ってるし、ウェイトだって…」
「それでー?だってそのリュック殆ど空じゃない。私だって担げるわよ。」
「これはだから、昨日までの疲れが肩にきてるって言うか…」
「ウェイトも軽すぎんだよ。あんな10lb位のじゃ意味ないじゃん。」
「それはだって祥平が…」
筋肉ムキムキになったら気持ち悪いって、言ってたくせにー。
とはいえ帰りは下りの一本道で歩き易いし、スイスイ進む。例の杖も、坂が急な個所以外はもう使う必要もない。
トレイルの終点でバスに乗って、入口のパーキングまで戻った。そして名残惜しいけど、ワゴンに乗り込むとヨセミテを後にする。
姉貴も俺もぐったりして寝込んでしまったらしい。規則正しい振動が止んで車が停まって目が覚めたら、すでに市内…。
「わっ!ごめん、祥平!ずっと一人で運転させて…悪りい。ほんとにごめん!」
「いいよ。疲れたんだろ。涎垂らして寝てたぞ。二人とも。」
「やだ、恥ずかしい!」
一体どのくらい運動したら、祥平並みの体力がつくのか?単に若さっていう話も…。
家に戻るとドアを開けた途端、キャンディとシンディが飛びついてきた。アヤちゃんも俺の足にじゃれついて放してくれない。俺達はとりあえず荷物を下ろすと、皆を安心させるためにしばらく頭を撫でてあげた。
そしてその夜は、シャワーを浴びるとベットに倒れ込んで前後不覚に眠った。
次の日、祥平はもうラブの仕事に戻り、俺はおっかなびっくりの姉貴と一緒に、キャンディとシンディを連れて近くのビーチに散歩に出掛けた。
夜には、みんなでカストロにあるビーガンフレンドリーなレストランで食事をして、その後、姉貴と俺はジェラートを舐め舐め、皆で車を停めた場所まで歩いた。
「ああー、帰りたくないなあ。もう明日帰るなんていやだー!」
「また来ればいいじゃん。」
「いつでも来てよ。今度はグランドキャニオンに行こう。」
「行きたい!行きたい!」
ゴミゴミした東京に帰りたくないっていう気持ちは良く分かる。俺だって仕事に戻りたいわけじゃないけど、それでも蒸し暑い中ホームに並んで、殺人的に混んだ電車で通勤するのに比べればマシかもしれない。
次の日、出発の2時間前には姉貴を空港に送り届けた。そしてチェックインしてから出発までの時間、ロビーでコーヒーを飲みながらしばらく二人で話した。
「もういい加減に自分の家具とか売っちゃえば?」
「うん…。」
「なに迷ってんの?祥平君、すっごくいい子だし、あんたに夢中じゃん。」
「けど、姉貴の知らない事色々あるんだよ。いつもあんなに機嫌良くしてるわけじゃないし。俺の事だって本当はどう思ってるのか…。」
「あんたねえ…」
大袈裟な溜め息の後で、姉貴が言った。
「あたしなんて赤の他人じゃない。それを家に泊めてくれて、旅行まで連れてってくれて…それって、あんたが好きだからでしょ?大事に思ってくれてるのよ。あたしのことだってずっと“お姉さん”って呼んで。」
「ああ…」
「あー、じゃないわよね。あのさあ、誰だって完璧じゃないんだから、そりゃ機
嫌の悪い時は喧嘩もするかもしれないけど、あんた分かんないの?祥平君って根はすごくいい子よ。」
「う、うん。」
「ほんとにもう…あのスカした狩野って奴に比べたら、祥平君ってぶっきらぼうだけど、ずっと真実味があるわよ。」
姉貴は煮え切らない俺がじれったそうだったけど、山にいる時は考えなかった諸々のことで、俺はまた混乱していた。
真実…手当たりしだいに男と寝ていて、アル中だったっていうのもそう。
姉貴が帰って一人になってから、姉貴に言われたことを色々考えてみた。何も知らない姉貴の目から見た俺達の関係。
(それが俺達の本当の姿なんだろうか?)
その日、空港から戻って、姉貴の泊まっていた部屋を片付けてしまうと、次の日から俺も仕事だった。
入社したばかりで休みを取ったわけだけど、8月の終わりからレイバーディまでは他にもバケーション取る人が多かったらしく、俺が休んだのも目立たなかったみたいだ。
そのレイバーディの休日の次の火曜日、仕事を終えて家に帰ると珍しく祥平が先に帰ってた。
「あれ、今日は早いね?」
「やっぱり忘れてる…」
「?」
ああ!
「ごめん!姉貴が来たりして、バタバタしてたから…。今日で1年だったね。」
「そう、会ってからちょうど1年だよ。Happy anniversery、敬吾。」
「Happy anniversery、祥平!」
もう1年か…。
その間にあまりにも色々なことがあって…泣いたり、笑ったり、怒ったり…。
(俺、少しは成長したかな?祥平のこと前より理解してるかな?)
姉貴が居る間は我慢してたんで、その夜は思いっきりベットでふざけあった。祥平に脇腹を舐められて、くすぐったくて転げまわって逃げる。お返しに脇の下をくすぐろうとしたけど、素早く躱されてなかなか上手くいかない。
「こら、大人しくしろ。」
「やだよ。ほら、ここも感じるだろ?」
「あっ、もう…ひいい、俺ばっかり…ひゃ!ははっ、やめ…あ…あん…は…」
俺をくすぐってた手の動きがゆっくりと優しくなって、俺の声も甘ったるく濡れてくる。感じ易いところを撫でられて思わず目を瞑って、唇を噛んだ。
「んっ…くっ、ふっ…」
「声…出してもいいよ。もう誰もいない…」
「あっ、うん…ああ…はあ…」
身体は1年前と確実に変わった。アキと居る時はセックスそのものがそれ程好きだったり、良かった訳じゃない。好きな人といて相手が満足してくれればそれで幸せな気分になれた。
今は、祥平が近くに居るだけで欲しくなる。入れて欲しくて…早く感じたくて…
「ん…はやく…う…も、欲し…い…」
「どうする?付ける?」
「はあ…そのまま…して…」
ゆっくり入れられると、もっと欲しくて自分から腰をくねらせてしまう。
「ああ…もっと…もっと…いい…あああー、しょーへー」
自分でも変じゃないかと思うくらい感じまくって…焦らすような動きに翻弄される。
「もうイク?」
「ん…はっ…あああー、はあっ、あっ…」
手慣れた愛撫、優しい声、指の動き、熱い肌…少し濡れた髪が伏せた瞳に被さる。ゾクゾクするくらい奇麗な男…
俺の祥平…。
「はあ…」
一度した後で離れたくなくてくっ付いてたら、そのまま2度目に縺れ込んでしまった。さすがに身体がだるい。平日なのに中で出しちゃったし。
ま、俺がいいって言ったんだけど…。
グタっとしてると祥平がジャクジーに入れてくれた。
「ごめんな、つい…。腹の上に出せばよかったな。」
「ううん。俺、結構好きだし。最後…祥平がイクの中で感じるの…」
「へえ、敬吾もそういう事言うんだ。なかなか進歩したんじゃん。」
「その…なんて言うか、そういう事もちゃんと話した方がいいのかなって。」
「んんー、可愛い!」
唇にキスされて慌てて付け加えた。
「ジャクージでするのは嫌いだぞ!」
「はい、はい。」
クスクス笑いながら身体を洗ってくれる。また感じてしまいそうで、気を逸らすためにキャンプで使った謎の物体について聞いてみた。
「ああ、あれ。デンタル・アシスタントの友達が作ったんだよ。仕事中に思い付いて作ったらしいけど、売ってはないんじゃないかな。」
「そうなの?」
「歯形取る時に使うホットワックス、中に芯入れて固めるとちょうど噛み易いテクスチャーになるんだな。敬吾にあげたのはストロベリーフレーバーだったけど、他にもメロンとかグレープとか、コーヒー味なんてのもあるんだぜ。」
職場でそんなん作るなんて…
「こんなん貰ってもいつ使うんだよって思ってたけど、一応何でも取っとくもんだな。キャンプに持ってって大正解だったし。」
そういえば例のエログッズの箱の中に用途不明の物も色々入ってたけど、あれもそうだったんだ。結局姉貴にはバレたわけだから、役に立ったって言えるのかどうかは疑問だけど。
「使ったやつはどうしたの?」
「あれは捨てた。洗って何回も使えるかどうか分かんなかったし。」
「そっか…」
「何なら頼んでもう一つ作って貰おうか?敬吾、ストロベリー好きだろ?」
「そんなのいいよ。だってもう使う事ないじゃん。」
「今度またお姉さん来た時使えるだろ?」
「えっ、もうやだよ。」
「そうじゃなくて…家でもさ、敬吾恥ずかしがってさせてくれなかったじゃん。
あれ咥えてれば平気だろ?」
「ん…」
どうしよう…歯医者に行って悶えたりして。
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春休みに夏休みの話って…。いつもながら、季節感ゼロの話で申し訳ありませんでした(汗)
あんまり登場人物が増えてゴチャゴチャしてもいかん。と思いつつ、敬吾のお姉さんも登場。そんなわけで(?)、もし日本に持っていく、またはアメリカ人にあげる、お土産のいいアイディアがありましたら是非教えて下さい^-^