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ライン ドット

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今回のお礼はペット3匹の会話です。元々は第二部「流感」のお礼に書いた小編の再掲載です。

 

「挨拶にしたら長いと思うの。」

 

そうあたしが言った途端、キャンディが興奮して舌を出しながら、「そうよね、やっぱり変よねっ!」って大きな声を上げた。

 

シンディとキャンディって、変な名前の2人は姉妹だそうだけど、全然性格が違うの。

 

シンディはジッと周りの状況を見て、静かに素早く行動する方だけど、キャンディは何んにでも直ぐ興奮してしまって、おまけに声が大きい。

 

キャンディはパパのことがお気に入りなんだけど、あたしはパパの匂いを確認してからゆっくり近づく方だから、パパの顔を見ると飛びつきたがるキャンディのペースには、正直ついて行けないことが多い。

 

あんまりキャンディが煩いと、シンディがグルルッって低く唸ってみせる。そうするとキャンディの方はキューンっていうような声を上げて、その後は少し静かになるんだけど、しばらくするとまた何かに興奮して騒ぎ出しちゃうのね。

 

今日もパパ達が居ない間のお昼寝の合間に、パパ達が何で「キス」をするのかって話をしてたら、早速キャンディが興奮し始めたわけ。

 

あたしたちが挨拶する時は、まず相手の匂いをクンクン嗅いで、それでまず相手を確認してから、優しく相手の顔とか耳の裏を舐めてあげるの。

 

でもシンディとキャンディは「ネコ」じゃなくて「イヌ」だから、それ以上あたしが舐めて上げても嬉しくないみたい。ここだけの話、「イヌ」は毛繕いが出来ないらしいの。(嘘じゃないのよ!)だからダディがドッグウォーカーって人を雇って、時々は「グルーミング」にも行かなくちゃいけないんだって。

 

首を縛られて人間に引き摺り回された上に、自分で自分を奇麗にする事も出来ないなんて…。その話を聞いた時、あたしは2人があんまり気の毒で、どういうリアクションをして上げたらいいのかしばらく固まっちゃったわ。

 

あら、何の話だったかしら?

 

そうそう「キス」。

 

家族皆でTVを見る時、パパ達は大抵カウチにくっ付いて座るの。

 

シンディとキャンディは、丸いフカフカしたクッションみたいなベッドに丸くなって、パパ達の足元に寝そべるし、あたしは気分次第で、カウチの背もたれに座ってパパ達の頭の上で休むこともあれば、パパ達のお膝に座ることもあるのね。

 

あたし、昨日はゆったり寛ぎたい気分だったから、大き目のアームチェアを1人占めして、毛繕いをしながらブンブンいうTVの音にぼんやり耳を傾けていたわけ。

 

そしたら始まっちゃったの、パパ達の「キス」が。

 

最初はパパがダディの顔を舐めて…

 

あ、その前に念のため。あたし達、けーごパパのことはパパ、しょーへーパパのことはダディって呼ぶことにしてるの。だって2人ともパパじゃ、ややこしくってしょうがないんだもの。

 

しばらくパパがダディの顔とか耳の裏とか舐め回してたら、そのうちダディがパパをカウチに押さえつけちゃった。そして片手でパパの身体中をゆっくり撫で回しながら、もう片方の手でパパの頭を抱えて「キス」を始めたの。

 

シンディは「それが人間にとっての挨拶じゃないの?」って言うんだけど、あたしはさっきも言ったように、挨拶にしたら長すぎると思うの。

 

それにしばらくすると、パパ達がおかしな声を出し始めるのよ。ふううっていうか、んんっていう感じ?人間って、ああいう声は出さないものだと思ってたのに…。

 

しかもそれが延々と続くのよね。そしてあたしの毛繕いが終わって、シンディとキャンディが退屈して眠り出す頃になって、今度は何が可笑しいのか知らないけど、2人してクスクス笑いながら2階に上がって行っちゃった。

 

そういう時はパパ達、TVを消してっちゃうんだけど、あたしはまだTVの音を聞いていたい時があって、そんな時は一応ミャッって抗議の声を上げてはみるの。でもパパ達にはあたしの声が聞こえないみたい。

 

「2階でしてることも変よね。」

 

あたしは、そこでちょっと控えめな言い方をしてみた。本当は「2階ですること」は、変どころじゃない。パパが死んじゃうんじゃないかと思って、あたし、最初は本当にびっくりした。

 

だってパパが今まで聞いた事もないような、凄い声を上げるんだもの。それなのに、ダディはパパの声を聞くと、もっとパパのことを苛めるの。

 

でもあたしが心配してオロオロしてたら、シンディが「あれはファッキングって言うのよ。」って教えてくれた。

 

申し訳ないけど、「イヌ」のトレーニングスクールをちゃんと卒業したっていうのに、あの子達の言葉使いはどうかって思うわ。

 

「そんな言葉は使っちゃいけないのよ。」

 

あたしが折角そう教えて上げたのに、二人とも「ダディは普通に使ってるもの。」って、あたしの忠告を聞こうとしないし。

 

そもそもトレーニングスクールとやらで、何を教えて貰ったのかと思うわ。自分の体も奇麗に出来ないし、うんちも人に拾って貰わなきゃいけないなんて…。

 

考えると可哀想になるから、あの子達が「イヌ」だっていうことは、普段は考えないようにしてるんだけど、こういうことがあるとどうしても、あの子達が「イヌ」っていう気の毒な存在だってことを思い出しちゃうのよね。

 

あたしは自分の身が危ういとなったら、素早く逃げて安全な場所に隠れるけど、あの子達は、何があってもまずパパ達のことを守るんだって。

 

それが「イヌ」の使命なんだってシンディが言うと、キャンディまで大真面目な顔で肯くのよね。おまけに、

 

「パパの大切なベイビーだから、あなたのことも守ってあげる。」

 

だって。

 

申し訳ないけど、あたしは自分で自分の面倒くらい見られるの。パパが買ってくれたスクラッチャーで、毎日セッセと爪を研いでるんだから。

 

「キス」も「2階ですること」も「イヌ」のことも、あたしにとっては良く分からないことだらけだけど、皆の事は嫌いじゃないの。ううん、パパが居ない昼間、ずっと1人で居た生活を思ったら、こうして家族が増えたのは夢みたい。

 

時々、知らない場所で一人ぼっちになってる夢を見る事があって、本当に目が覚めて一人の時は、どんなに一生懸命毛繕いをしても、悲しくて中々落着けなかった。

 

でも今は、目が覚めるとシンディもキャンディも居てくれる。あたしが怯えてると、頭をペロペロ舐めて落ち着かせてくれる。

 

ふああ…

 

あら、そう言えば欠伸が…。そろそろお昼寝に戻らなきゃ。「キス」については、後でもう少し考えてみようっと。

 

それじゃあお休みにゃあぁ。

 

一応、みんな性格が違うんです^-

いつかアヤちゃん視点で、彼女と敬吾パパとの運命の出会いを書いてみたい♪

 

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