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どうやらそのチャイナ・ドレスの倒錯劇が祥平の遊び心に火を点けたらしい。しばらく黙っていた3人でっていう話をまた蒸し返し始めた。
「やだ!」
「ジェスがタイプじゃないのは分かったよ。白人嫌いなんだよね?アジア系なら良い?日本人じゃないと駄目?アマレイジアンは?ヒスパニック?ブラック?」
「人種の問題じゃない!」
「年上がいいの?」
「そんなこと言ってない!」
「けーごー…」
「しつこい!それ以上言うなら出てく!」
一応それで一旦は黙るけどまたありとあらゆる機会を捉えてその話を持ち出す。もちろんベットでも…。
だけど俺は今回は首を縦に振る気は全く無い。祥平だけでもゲップが出る位なのに、あいつみたいなのがもう一人って思ったらゾッとする。あのジェスって奴も俺に話し掛けながら息も切らしてなかったし…俺を殺す気か!
祥平がその話を持ち出し始めて1週間が過ぎて、俺がげんなりしていた頃、仕事から帰って来ると俺の携帯が鳴った。
「ケーゴ?僕、ジュン!覚えてる?サンクスギビング以来だよね?元気?」
「ジュン?ああ…俺は元気だけど…。」
ひょっとして祥平はジュンに目をつけたんだろうか?彼は確かに可愛らしいけど、彼氏の留守に乱交パーティーを開くようなつわものだ。まったく油断も隙もない。
「この番号…しょーへ、いやショーンに聞いたの?」
「あー、実はね、この間のパーティの時にこっそり彼の携帯見たの。ショーンにはあれから幾ら電話しても出てくれなくてさ。避けられちゃってるみたいなんだよねー。フフッ!」
(何だ…祥平が誘ったわけじゃないのか。そう言えばもうジュン達とは付き合わないって言ってたもんな…それは嘘じゃなかったんだ。ジュンにはちょっと悪いことしちゃったかなあ?)
「あの…ショーンに電話するように伝えとこうか?」
「ああ、いいの。今日はケーゴに用があったの。」
「俺?」
「そう。今、ショーンいる?」
「いや、まだ帰ってないけど…。」
「そっか、じゃあちょっと話ししてもいい?」
「う、うん。」
もし乱交パーティーとかに誘われたら即お断りしようと思ってると、ジュンが思いがけないことを言い出した。
「あのさ、ケーゴ映画に出る気ない?」
「え?」
「知り合いがフィルム・スクールの生徒でさ、敬吾の話したら是非会いたいって言うんだよね。撮ってみたいんだって!」
「でも、俺より…ジュンとかしょーへ、いや、ショーンの方が奇麗だし…。」
「そうじゃなくてケーゴみたいな初々しい感じが良いみたいなの!」
初々しいって…俺のこと幾つだと思ってるんだ?
それからジュンはその監督志望っていう子がいかに才能があるか、これまでもアート・フィルムで賞を取ってるとかいう話を続けて、是非俺にその監督に会うようにって勧めてくれた。
「うーん、じゃあしょーへ、ショーンに聞いてみる…。」
途端にジュンががっかりした声を出した。
「ショーンってケーゴの事に関してはオーバー・プロテクティブだから、きっと駄目って言うよー。ケーゴの事なんだからさ、ケーゴが自分で決めればいいじゃん。」
ま…それはそうなんだけど…。
いつでも俺の都合に合わせるからって言うジュンに、一応お礼を言って携帯を切った。ちなみにどういう役なのか聞いてみたけど、アート・フィルムなんで俺のイメージに合わせて撮るっていう話だった。
まさかと思うけど俺を主役にしようなんて思ってないよな?俺、演技なんてまったく駄目だし。絶対祥平の方が向いてると思うんだけど…。
迷ったけどやっぱり祥平に相談してみる事にした。ジュンの言う通り祥平に相談したら多分駄目って言うか、自分も付いてくって言うと思ったら、案の定俺がその話をした途端に怒り出した。
「ジュンの奴!人の携帯をこっそり見るなんて汚い真似しやがって!おまけに俺が居ない時狙って電話してくるなんて最低のxxx!」
「そんなギャーギャー言う事じゃないじゃん。乱交パーティーに誘われた訳じゃないんだし。3人でやりたいっていう誰かさんよりよっぽどマシだと思うけど。」
ギロっと睨まれた。
「敬吾…馬鹿な恋人を持つとほんっとに疲れるよ!まあ勝手にノコノコ一人で行かないで、俺に相談したのはお前にしては上出来だったけどな。」
「何だよ、その言い方。アート・フィルムに出てくれって言うだけの話じゃんか。ちょっと興味あっただけだろ、映画ってどうやって作るのかとか。」
「First of all!」
うっ。説教モード。祥平の説教が始まる時は大抵このフレーズで始まる。そもそも俺のどこが間違ってるか…っていうわけだ。
「アート・フィルムって何のことか分かってんのか?」
「分かってるよ。だから…芸術作品だろ?ハリウッド映画みたいな娯楽映画じゃなくて。」
「フン!だからお前は馬鹿なんだよ!ジュンの友達だぞ。で、映画撮ってる奴っていったら俺の知ってる奴で、そいつの撮る映画なんてアダルト・フィルムに決まってるじゃんか!」
「あだると…って、えーっ!」
「今ごろ気づくか、ったく。ちょっと興味あってえ…何てフラフラ行ってみろ、お前なんか生きて帰ってこれないんだぞ!アートって言うだけあって並みのグロさじゃないからなあれは。一部のマニア向け。」
ジュン君て…一体俺を何だと思ってるんだっ!
「大体なんでお前なんだよ。」
「分かんないけど、俺のこと…初々しいって…」
「はああ?初々しい?」
「だからsweet and innocentって。」
フンって祥平が鼻で笑った。
「それを言うならgullible and naïveだろ。ほんっとに馬鹿なんだから!」
くそーっ!でも言い返せない。
「敬吾。フィスト・フxxクって知ってるか?」
「ふぃすと?」
祥平が拳固を作ってみせた。
ブンブン首を横に振った。知りたくも無いし。
「ま、それが奴の趣味だな。この辺まで入れるし。」
そう言って肘の上の辺りを指す。
「い、入れるって…あの…まさか…?」
「そう、ケツ。ガンガン掘りまくるわけ。」
なっ、なに?
絶句してる俺に祥平はそのアート・フィルムなるものの実態を事細かに説明してくれた。なんでも何人かで輪になって、それで腕一本じゃなくて二本入れたりもするんだそうで、聞いただけで泣きそう…。
「他にもペニスにシリコン入れて勃ちっぱなしにしてる馬鹿もいるし。」
「そ、そんな事したら身体に悪いんじゃ?」
「そういうこと気にしないサイコパスの集まりなんだよ、あの世界は!仲間意識持ちたいからってわざとエイズ移して貰いたがる奴もいるくらいだし。」
「し、しょーへー、まさか…まさか…しょーへーも…。」
「俺は頭おかしい訳じゃないの!フィストって言ったって半端じゃないんだぜ。一遍誘われたからどんなもんかと思ってDVD見て…本気で吐いた。」
ああ…知りたくなかったこんな話…。
「だからさ、3人でやるなんてそれに比べれば全然抵抗ないだろ?」
危うく肯くとこだった、危ない危ない。それとこれとは別!
それにしても…俺の常識が…ノーマルのスタンダードが…ドンドンぶっ壊れていく…。
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作者注:まさか生きて帰って来られないなんてことは無いと思います(笑)。それからアメリカに住んでてゲイの癖に、いい年してフィストも知らないなんてありえない?っていう苦情は受け付けておりません(笑)。それと100%作者の妄想とか言っといて、時々人から聞いた話を書いてますけど、ここら辺も昔ゲイ・ポルノのプロデューサーの方から聞いた話だったりしてます(汗)。そういう話を一応「日記もどき」に書こうかな、と思いますが、グロイの嫌いな人は読まないで(><)。「お尻が壊れちゃうぅっ!」2007.8.12、「大きさは関係ない」2007.8.14、「俺にも下さい」2007.8.16。