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俺は平均的日本人で、自分の家の宗派が何かって事は、祖父の葬式の時に初めて知った。もちろんクリスチャンじゃない。
祥平はエイシスト、無神論者だ。
日本人は無宗教って言われるけど、それは違うっていうのが祥平を見てると分かった。お正月に神社に参拝に行ったり、仏壇に手を合わせたりする人が無宗教のはずない。
良く分からないけど、日本人の宗教観には「契約」の観念が抜け落ちてる感じがする。クリスチャンみたいに毎週きちんと教会に行ったり、イスラム教徒みたいに決まった時間にお祈りしたりはしない。でもだからって神様を信じてないって訳じゃない。
俺だって自分の宗派が何かとか知らなかったわけだし、知ってからも特に関心があるわけじゃない。家にはちゃんとした神棚も無い。けど、それでも漠然と神様の存在は信じてる。困った時にはやっぱり心の中で神頼みしてしまう。
一度「ああ神様、どうしよう。」かなんか言ってるのを聞かれて、真顔で祥平に言われた。
「敬吾、神様なんていないんだよ。」
全ての宗教は政治と結びついたプロパガンダだって祥平は言い切る。理詰めで祥平に反論するのは俺には無理だし、神の存在なんて証明しろって言われても出来ない。
だけど俺だってそうだけど、誰だって自分に弱い所があるから絶対的な存在を信じたいもんだと思う。皆が祥平みたいに強いわけじゃない。
ま、クリスマスにそんなこと言い争ってもしょうがないし。
ビーガン・ケーキは不味いっていう偏見があったけど、それはジュン君の料理が下手なせいらしい。祥平と焼いたケーキはとても美味しかった。
その二人でゴロゴロ過ごした休暇が終わりに近づいた頃、ベットでヤリ終えた後に祥平が俺の耳元で囁いた。
「俺、敬吾にラバー付けないで入れたい。」
「ん…。」
正直、俺は今まで祥平が一度もそうしたいって言わなかった方が不思議だった。その方が楽だから、必ず付けてくれるのをありがたいと思ってたんだけど「ま、たまにはいいか。」そう思ったから囁きかえした。
「いいよ…祥平がそうしたければ…。」
「ほんと?」
「うん。」
そう色っぽく呟いて、キスしようと目を瞑ったら、
「よし!じゃあエイズ検査に行こう!」
???
「はああ?エイズ!?」
「そ、直に入れるならお互い病気持ってないって確認したいだろ?」
(なにー!?)
「ちょっと待て!お前、今まで必ずゴム付けてたのは俺が病気持ってると思ってたからか?」
「そうじゃないよ。念のため。そんなの常識だろ!」
人を病原菌みたいに…。
「どこの世界に、生でやる前にエイズ検査に行くのが常識っていう奴がいるんだよ!」
「だから、この世界。」
うっ…サンフランシスコのゲイ・コミュニティ!?
俺はそんな世界に足を踏み入れた覚えはない!夜遊びしたことないし、家と会社を往復して、週末は掃除に追いまくられて、何で俺がエイズ検査なんて!
「生で入れたきゃ、入れろ!俺は絶対そんな検査受けないからな!」
「へー。」
祥平が意地悪い顔で俺を見た。
「アキって奴が病気持ってなかったって断言できる。」
「できる!」
「ワイフが持ってたかも?」
「ありえない!」
「俺が持ってたら?」
「!」
(あ、ありえるー!)
「だから一緒にテスト受けよう、ね。俺も最後に敬吾以外の奴とやってから6ヶ月過ぎたし。」
「嫌だ!一人で行け!」
「ねえ、敬吾…。」
「断る!」
おまけに祥平の奴、俺の知らないうちに勝手に人のドラッグ・テストまでやってた。
「俺が寝てる間に採血したのかよ?」
「あのさ、サンプル取るなら普通尿だろ。」
「だっていつの間に?」
「これ、お前が帰った後一杯落ちてた。」
つまり俺が帰った後、俺の髪の毛をラブに持ってって調べたらしい。で、その結果がネガティブだったから、土曜日に俺に会いに来た。
それ聞いた途端、すっごいムカついたっ!
なーにが「クリーンに見えた。」だよ。きっちり俺のこと調べてたんじゃんか。
ほんっとにいい性格…。
俺にしては頑張った方だと思う。休暇が明けてからも毎日のように、ある時は脅され、ある時は甘い声で検査を受けようって言われ続けたけど、俺はNOって言い続けた。
「ねえ、敬吾、敬吾くーん、敬吾ちゃん、けーごー!」
どう言われようと嫌なものは嫌!
…けど…
結局一番ありがちな手で陥落させられた…。
祥平の手が俺のアソコを握る。緩く片手で扱きながら、先端をもう片方の手でグニュグニュ押し潰すように弄る。舌が乳首を舐め回し、弾く。
「はあ、ああ…ん…。」
「気持ちいい?口でしてあげたいな?俺、上手いよ…。敬吾の出なくなるまでしゃぶり尽くしてあげる。ねえ、一緒にテスト受けて…お願い。俺…敬吾の飲みたい…。」
耳元で絶え間なく囁かれ、アソコに指まで入れられて前を弄られる。
「んん…ああ…。」
「一緒に行って…。」
「ふ…あ…しょーへ、ん…はあ…ああー…やあ…」
後ろを嬲られながらイキそうになる度に前を締め上げられて、俺はガクガク身体を揺さぶった。その間も祥平は俺の耳元で囁き続け、首筋から鎖骨、乳首に交互にキスを繰り返す。
「行く?」
「…あ…イク…。」
「ほんとに?」
「うん…もう…放して…お願い…」
「約束だよ。」
どうしてこうなるか…と思いつつ俺は首を縦に振り続け、結局ウヤムヤのまま検査に行く事を承知してしまった。
会社にバレたらっていうのが心配だったけど、エイズの検査はタダだし保険を使う必要が無い。名前も身分証明もいらない。ただ事前にいくつかの質問に答えて、ちょこっと血を抜かれて、その時に番号を貰う。1週間後に指定された時間にその番号の書かれた用紙を持って行けば、検査の結果を口頭もしくは紙に書いて渡される。
(何で俺が…。)
心の中でブツブツ文句を言いながら、質問に答えていった。質問の一つは今までにセックスした相手の数。俺は…2…。
なんでその俺がエイズ検査?
で、祥平は?
恐る恐る祥平の方を見ると、目を瞑って、何か呟きながら指を折って…数えている?パッ目を開けると俺を見て笑いながら頭を振った。
(それは一体…?)
紙を見ると…いいいーっ?ゼロが一つ多く無い?しかも何?アバウトって何だよー!
祥平の答えは…100…。しかもアバウト付き…大体100人位って…。
「覚えてねーよなー、イチイチ。どーせ俺またナースに怒られるんだし。てきとーでいいや。敬吾は何て書いたの?」
知ってるくせに…。
「30年近く生きてて2人って…。あ、あのさ、これオーラル・セックスも入るんだよ。」
「どっちでも同じだよ…。」
「そっか…。」
なに笑い堪えてんだ!悪いか!エイズ検査だけじゃなくて、性病の検査全部一人で受けろ!馬鹿、変態、淫乱!
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エイシストについても、「日記もどき」に書いてみましたので、宜しかったら読んでみてね。2007.7.17「筋金入りの人々-2」です。