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終わった後もしばらく俺と繋がったまま、祥平は後ろから俺を抱きしめていた。そっと髪を撫でられて、全身が敏感になっていた俺はビクンと背中を反らせてしまう。
「…なあ、ホントどうした?何かあった?」
ああ…言わなくちゃ。ちゃんと話があるって言うんだ。
俺さえ何も言わずにいれば、このままもう少し一緒にいられるはずだって心の声が囁く。俺が黙っていると祥平が身体を離して俺を仰向けにした。
そんな顔で見られると…。
「なあ、敬吾。俺と一緒に暮らさない?」
(そう一緒に…。)
「え、ええー!」
俺は思わず身体を起こすと大声を上げた。
「耳元で喚くなよ。んな驚くか?」
(驚くだろ、普通!)
「だって、今、一緒に住もうって…。」
「嫌?」
「嫌とかじゃなくて…その…だって…それどういう意味?ルームメートが欲しいってこと?それとも…。」
「俺は敬吾と住みたいんだよ。毎日一緒にいたいんだ。嫌か?」
頭が混乱する。
順番がおかしいだろ?ちゃんと好きだって言われた覚えないし、俺と真剣に付き合ってるのかどうかも分かんなかったのに、いきなり一緒に住もうなんて!
「…どうして…俺なんかと…。」
「俺なんか、ってのはやめろ。」
「けど…。」
「敬吾さー、自覚ないみたいだけど、お前、アレがすっげえいいんだよ。本人分かってないとこがさ、また可愛いっつーか。」
「は?」
(何それ?)
「…俺が感じ易いって事?」
それはアキにも言われた事があったけど…。
「ま、それもあるけど…なんつーか、そのアソコがズバリ最高なんだよな。ああいうのをほら、日本語でなんつったっけ?名器っつーんじゃないの?締まりはいいし、中に入るとヌルヌルしてこう吸い付いてくるっていうか...。」
「…名器…。」
「そう。俺が何やっても、お前っていちいちリアクションも最高だし。どう考えても、お前が俺のベスト・ファッ…痛っ!痛ったい!何すんだよ!」
俺は拳固で祥平の腹を思いっきり殴り付けた。顔殴られなかっただけ、マシだと思え!
「…帰れ。」
「おい、何怒ってんだよ。俺は誉めたんだぜ。」
「帰れ、もう二度と来るな!そんな事しか言えないんなら帰れ!」
悔しい、涙が出そうになるのが。
俺が真剣に悩んでるのに、こいつにとって俺は単に気持ちのいい穴なわけ?便利に突っ込みたいから一緒に住みたいって言われて、ハイハイって喜ぶと思ってんだろうか?俺をどこまで馬鹿にする気だよ。
「敬吾…。」
「いいから…帰れ。もうメールも電話もするな。俺にかまうな。」
「…ごめん…俺、無神経なこと…。」
「帰らないなら俺が出てく。俺が戻るまでに出て行かなかったら、警察呼んでやる。」
怒り狂って立ち上がろうとする俺を、祥平はどういうコツがあるのか簡単に押え込んだ。俺は必死に全身をバタバタさせて抵抗したけど、祥平に圧し掛かられて動けなくなってしまった。このまま犯られてしまうのかと思うと、悔しくて涙が溢れた。
「頼むから落ち着け…話聞いてくれよ。」
「もう充分聞いたよ。お前の気持ちはよーく分かったから。とっとと次の相性のいい穴を探してくれ。」
祥平が俺の頭を抱え込むと耳元でため息を吐いた。
「だから悪かったって…。セックスがいいのはホントだし、俺はそれも大事なことだと思うけど…敬吾が聞きたかったのはそんなことじゃないんだよな。」
ああ…畜生、涙止まらない。
「…ヒック…も…いい…帰…れ…。」
「帰らない…。俺は敬吾が好きだよ。初めて会った時からずーっと…。俺、敬吾に一目惚れしちゃったし。」
「…嘘…そんなん…うそばっか…。」
「嘘じゃない。敬吾が出てくるまでずっと待ってたろ?」
(あ…。)
「だって、だって俺の事ヘタレって言って馬鹿にして…。」
祥平がまた溜息を吐いた。
「腹立ったんだよ…。別れた男の写真持ち歩いて、俺に触られて感じてるくせに、そいつの話しながら泣くし。」
「そ、それは祥平がしつこく聞くから…。」
「気になるじゃん。10年も付き合ってたって聞いたら。」
「けどあんな乱暴に…。」
「…それは…俺も実はあん時久し振りで…まあ結構溜まってたっていうか…。」
はああ…。
「俺のどこが良かった訳?」
「ん?」
「だから…俺…祥平みたいに奇麗とか目立つ訳じゃないし…。」
「あ、ああ…うーん、説明しようとすると難しいなー。」
しばらく言葉を選ぶように考えて込んでから祥平が言った。
「クリーンに見えたんだ。」
「クリーン?」
「うん、そう。」
「…病気持ってなさそうとか…そういう意味?」
(さっきと同じなんだよ、言ってる事が!)
「…うーん、それもあるか…でも、それだけじゃなくって…何ていうかこう、清潔感っていうの?そういうの分かったんだよ、パッと見た瞬間。ああ、こいつは朝起きて朝飯食って、真面目に生活してる奴だなっていうのがさ、見えたって言うの?」
「…それって、単に俺が普通って事じゃ…。」
「そう、それ。すごくノーマルな奴だって思ったんだ。」
頭痛くなってきた。何言ってんのこいつ。
「全然っ、分かんない!」
「だから…俺、前に付き合ってた男がとんでもないサイコでさ。最初は分かんなかったんだけど、最後ホントやばい事になってて。それで犬飼いだしたりしたんだけど。敬吾はさ、安心して一緒にいられそうで…。俺、そういうのに餓えてたんだよ。だから声掛けたんだ。」
「それって…誉めてんの?」
「当ったり前じゃん!俺が自分から誰かと一緒に住みたいと思ったのなんて初めてだよ。」
(そっかあ…。)
「あー、やっと笑った!」
ギュウウウっと抱きしめられて苦しいけど…嬉しかった。
(清潔…か。)
「笑った顔も好きだよ。初めて会った時、敬吾に笑いかけられてスッゲー嬉しかった。」
「そう?でも俺のこと睨んでなかった?」
「ドキッとしてさ、咄嗟に睨んじゃったかも。」
「それ変だよ!」
抱きしめられてクスクス笑ってると、祥平が聞いた。
「敬吾こそ俺にホイホイ付いて来たのは何でだよ?」
「え?」
「俺の顔が気に入った、とか言うなよ。」
(そ、それは…。)
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